人と比べて落ち込むのは、見る相手を間違えているからです

人と比べて疲れた。この状態のとき、多くの人は比べてしまう自分を責めます。
比べるのをやめよう。気にしないようにしよう。
そう決めて、また比べて、また落ち込む。この往復が一番消耗します。
ただ、問題は比べていることではありません。見ている相手のほうです。
私は90日間の音声コーチングをやっています。
受ける前と受けた後に、同じ人へ同じ質問をして録音を残しています。7人分あります。
この記事では、その発言と、私が音声で話している内容だけを使います。
久田 晃比べること自体は、悪いことではありません
最初に、はっきりさせておきたいことがあります。比較そのものは害ではありません。
私は音声でこう話しています。
人と比べていいのは、比べたことで心の底からやる気が出るときだけだ、と。
テストの点数を見て「あいつより低かった」と思い、それで机に向かうなら、その比較には意味があります。
比較は、行動に変わるなら燃料です。
私自身、事業の数字は他社と比べます。
売上や成約率を並べて、何が劣っていて何が優れているのか、より良くするには何をすればいいのかを見ます。
そのときしか比べません。だから、劣等感を抱くことがないのです。
1燃料になるか、消耗になるかで分かれます
同じ比較なのに結果が真逆になるのは、比べたあとに何が残るかが違うからです。
- 比べたあとに「何が足りないか」が出てくるなら、それは分析です
- 比べたあとに「自分はダメだ」しか出てこないなら、それは消耗です
分析は次の行動につながります。消耗は行動を止めます。
どちらも同じ「比べる」という動作から始まっているのに、行き先が正反対です。
野球選手が全員、同じ一人と比べていたら
私が音声で使っているたとえを、そのまま書きます。
プロ野球の選手が全員、球界で一番の選手と自分を比べていたらどう思いますか。
それはやめたほうがいいよ、と思いませんか。
そして、その一番の選手と比べて劣等感を抱えている選手を、何人も見たとします。
さらに、それが一つのチームだったとしたら。そのチームに、率直にどんな印象を持ちますか。
あまりいいイメージは浮かばないと思います。
他人に対しては「やめたほうがいい」と即答できることを、自分に対してだけは毎日やっています。
1相手のことは、表面しか見えていません
もう一つ問題があります。比べる相手のことを、私たちはほとんど知りません。
見えているのは結果だけです。
そこに至るまでの時間も、失敗した回数も、持っていた条件も見えません。
見えない部分を勝手に埋めて、完璧な相手像を自分で作っています。
SNSを開くと落ち込むのは、この構造がむき出しになる場所だからです。
並んでいるのは各自の一番いい瞬間です。過程は投稿されません。
受講前の福丸さんが、こう話していました。
「今は他人によって自分のメンタルが左右される。すごいモロに左右される」
福丸さん・受講前
左右されるのは弱さではありません。相手の表面と自分の内側を並べれば、誰でもこうなります。
比べている対象が、そもそも同じ種類のものではないからです。
見る相手を、過去の自分と理想の自分に変えます
では誰と比べるのか。私が音声で言っているのは、二人だけです。
過去の自分と比べて、何が変わったか。何を持てるようになったか。
理想の自分と比べて、あと何が足りないか。見るのはこれだけで足ります。
この二人が相手だと、条件が同じです。同じ環境、同じ性格、同じ持ち物からのスタートです。
だから差がそのまま「進んだ距離」になります。
他人が相手だと、そうはなりません。
スタート地点も環境も違う相手との差は、進んだ距離ではなく、ただの差として残ります。
埋めようがない差を毎日測っていれば、疲れて当然です。
1ないものではなく、あるものを見ます
過去の自分と比べるときにも、見方が二つあります。
40点だった人が60点を取ったとします。「60点も取れた」と「60点しか取れなかった」。
結果はまったく同じです。それでも、自分に残るものが変わります。
目標が年収1000万円で、今が300万円だとします。
「300万しかない」と思うと、自分を責めやすくなります。
「300万もある」と思うと、今持っているものに焦点が当たります。
「あと700万をどう足すか」と考えるのと、「残り700万をどう埋めるか」と考える。
この2つは同じ計算に見えて、中身が違います。
片方はプラスから始まってプラスで終わり、もう片方はマイナスから始まります。
久田 晃劣等感が消えないのは、比べる相手が多すぎるからです
劣等感を消したい、という相談をよく受けます。ここには、あまり語られない仕組みがあります。
比べる分野が増えるほど、負けている場所は増えます。仕事、収入、見た目、人間関係、趣味。
五つの土俵で誰かと比べれば、劣っている点は五つ出てきます。
劣等感の量は、性格ではなく土俵の数で決まります。
だから私は、音声でこう伝えています。まずは一つのことに集中したほうがいい、と。
理想の自分は何通りもあると思います。
ただ、優先順位をつけないと全部に手が回らず、結局どれも中途半端になります。
受講後の佐々木さんが、こう振り返っていました。
「優先順位が全部同じくらいの土俵にあったので、どれから行動しようみたいになってた」
佐々木さん・受講後
同じ高さのものが並んでいると、選べません。選べないまま全部を少しずつ触ることになります。
1一つに絞ると、労力が集まります
一つに集中している人ほど強い、というのは私の実感でもあります。
一点に絞ると他のことに労力を使わなくなるので、そこがどんどん尖っていきます。
勉強でも同じです。国語、算数、理科、社会を一日で全部やるより、一日一科目のほうが進みます。
科目を移るたびに頭を切り替える必要があって、それだけで疲れるからです。
切り替えのコストは、本人が思っているより大きい。これは他人と比べるときにも起きています。
あの人はどうか、この人はどうかと視線を移すたび、自分の作業から離れています。
受講後の俊平さんは、行動を一日最大三つまでと決める話をしていたときに、こう言いました。
「1点集中が、自分は得意かなって」
俊平さん・受講後
三つ使ってもいいところを、あえて二つにしていました。
減らしたほうが進むと、やりながら気づいたわけです。
比べてしまうのは、環境から来ています
ここは自己否定の話とまったく同じ構造です。
比べる癖がついているのは、あなたのせいではありません。
そうさせる何かが、環境の側にあります。
誰と過ごすか。どこで過ごすか。
これで思考も行動も本当に変わります。
自分の意志で動いているつもりでも、実際は付き合う人間と住んでいる場所に大きく引っ張られています。
SNSも環境です。開けば比較対象が整列している場所に、一日何時間も自分を置いている。
それで比べる癖が消えるほうが不自然です。意志の強さの問題ではなく、居場所の問題です。
比べてしまう自分を責める前に、自分の生活を見てみてください。
そうさせている何かが、生活の側にあるかもしれません。
90日後、7人が何と言ったか
同じ人に、90日後にもう一度同じ質問をしています。
大貴さんは、ずっと手が付かなかった資格の試験に受かった直後でした。
何がそうさせたのかと聞いたときに、最初に出てきたのがこの言葉です。
「まず、他人と比較することがなくなった」
大貴さん・受講後
勉強法でも教材でもありません。比べるのをやめたことが先に来ています。
他人を見ている時間が、そのまま自分の手元に戻ったからです。
俊平さんには、90日前との違いを一言でと聞きました。返ってきたのは四文字でした。
「迷いがない」
俊平さん・受講後
迷いは、選択肢が多いときに出ます。他人を見るほど選択肢は増えます。
見る相手が減れば、迷う時間も減ります。
福丸さんは、他人にメンタルを左右されると話していた人です。90日後はこうでした。
「自分にちょっと自信が増えたので、あんまりおどおどしなくなってきました」
福丸さん・受講後
誰かに勝ったわけではありません。比べる相手が自分に変わっただけです。
それでも、人前での振る舞いまで変わっています。
まとめ
今回は、人と比べて落ち込む理由について書きました。
比べるのが悪いのではありません。比べたあとにやる気が出るなら、それは分析です。
落ち込むだけで終わるなら、相手を間違えています。
見る相手は、過去の自分と理想の自分の二人で足ります。そして土俵を一つに絞る。
それだけで、測る場所も、負けている数も減ります。
久田 晃落ち込むのは、見る相手を間違えているからです。
他人ではなく、昨日の自分と
最大120分。今の状態と、90日後にどうなっていたいかを一緒に整理します。
無理な営業はしません。顔出しも不要です。